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設計士が解説する【施工事例】A寺の庫裏ANNEX|#1 お客様とのエピソード

こんにちは、よねすぎの家です。

今回から【施工事例】「A寺の庫裏ANNEX」を全4回でご紹介します。

今回の新築計画は、【中尾克治建築設計室】様とのコラボ作品ということで、設計のポイントを解説していただきました!

第1回目は、お客様とのエピソードや玄関のこだわりポイントなどをご紹介します。

それでは、さっそく見ていきましょう。

■お客様とのエピソード

この家は歴史ある寺院の庫裏(ご住職の住まい)の別棟になります。もともと建っていた庫裏の一部分を解体し、建て直す計画でした。

広い境内の北隅の隙間のような限られた狭小スペースで果たしてどれくらいの住空間が作れるかどうかは、簡単には答えがでないことでした。

合わせて既存建物のほとんどが文化財登録されたものであり、文化財に対する対応や、建築法規上のクリアしなければならない事が山積みで、ひとつひとつ絡まった糸をほぐすように解決し、クライアントの要望にお応えしました。

当初は一棟で増改築する計画でしたが、数々の法的な問題点をクリアするため、最終計画は別棟(ANNEX)となります。

既存部分の改修計画と相まって小さな中庭空間と裏庭が整備されることになり、室内空間では新旧の建物は繋がっていませんが、この外部の空間が程よい緩衝帯となり、寺院のなかでセミパブリックな本堂・書院と住職家族のプライベート空間である、この庫裏ANNEXをひとつに繋いでいます。

担当した大工棟梁の発案でスライド可動式の簡易渡り廊下も作られ、軒下でリビングから旧庫裏の廊下へ下足に履き替えずに渡っていけるようにもなりました。

結果としては便利さだけではなく、ちょっとした不便があるにしても内外が有機的かつ緩やかに繋がっている融通無碍な住まいができたと思います。

写真だけを見ると「これがお寺の庫裏?」と思われる方も多いのではないでしょうか。

こうした空間ができるには、自分たちのライススタイルと嗜好をしっかり持った住まい手が既成概念にとらわれず勇気を持って挑戦したからです。(ご住職やそのご家族にとっても日々の生活の場は一般的な住宅スタイルと何ら変わることは無い)

そして設計者や施工者と意見を交わしながら焦ることなく、慌てることなく、諦めることなく、辛抱強く家づくりに向きあったからこそです。(計画から完成引き渡しまで足掛け4年かかっています)

また、設計者や施工者の立場を理解し、希望や条件はしっかり伝えつつ、任せるところは信頼し任せてしまうところがあったからだと思います。

建築主と設計者と施工者の関係は誰が上でも偉いわけでもなく、それぞれが責任ある立場で自分の持ち分を全うしながら、相手の立場を理解し、協力しながら事業を進める事で良い建築が生まれます。

三者のネットワークがしっかり機能した結果、良い住宅が完成しました。

(つづく)

次回はいよいよ【施工事例のポイント】についてお届けします!お楽しみに!

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